任意売却をした場合、譲渡所得税がかかるか
任意売却をした場合でも、通常は、住宅等の不動産の売却の譲渡益に対して、通常の税率で分離課税の長期短期の譲渡税がかかります。
よって、任意売却をする場合は譲渡税の計算をして、譲渡所得にかかる譲渡税を確保しておかなければなりません。税理士が任意売却業者を兼ねていた場合は税金計算が出来るので
安心して任意売却を任せる事ができます。
なお、実質的には、地価の下落等により、住宅等不動産の購入代金が任意売却による売却金額を上回っているケースが多いので、その場合は譲渡税はかかりませんので、一応必ず税金計算をして税金がかかるかどうか確認して下さい。
なお、任意売却をした場合、不動産譲渡の分離課税の短期長期の譲渡税が非課税になる場合があります。すなわち、資力を喪失して債務を弁済する事が著しく困難である場合には非課税になります。
非課税になる資力を喪失していて債務を弁済する事が困難である場合とは
非課税所得「所得税法 第9条第1項第10号」
資力を喪失して債務の弁済することが著しく困難である場合における国税通則法に規定する強制換価手続による資産の譲渡による所得その他これに類するものとして政令で定める所得については、所得税を課さない。
非課税とされる資力喪失による譲渡所得税「所得税法施行令第26条」
法第9条第1項第10条(非課税所得)に規定する政令で定める所得は、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であり、かつ、国税通則法第2条第10号に規定する強制換価手続きの執行がさけられないと認められる場合における資産の譲渡による所得で、その譲渡に係る対価が当該債務の弁済に充てられたものとする。
と規定している
すなわち、譲渡所得が非課税になるのは、下の二つのうちいずれかの場合における譲渡です。
1、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合に、競売などの強制換価手続きによる資産の譲渡
なお、強制換価手続きによる譲渡についても、本来所得税は課税することとしています。この非課税の規定は、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合になされた譲渡に適用されます。
・その譲渡が本人の意思に基かない強制的な譲渡、若しはそれに類する譲渡 であること。
・譲渡代金の全額が債務の弁済に充てられてしまい、譲渡者がその譲渡によ る利益にあずかることがないこと。
・課税したとしても税額の徴収が困難であること。
などとされています。
2、任意売却であるが、資力を喪失して債務の弁済することが著しく困難である場合に、強制換価手続きに類するものとして次の3つの要件を全て満たす資産の譲渡
三つの要件とは下記の条件です。
①譲渡前において債務超過の状態であること
現金 50万円 借入金 2000万円
預金 100万円 未払税金 50万円
土地建物 1500万円
資産合計 1650万円 < 負債合計 2050万円
上記の場合、債務超過であります。
所有している資産額よりも、負債額の方が大きい場合債務超過になります。
上記の場合は、400万円の債務超過の状況にあります。
②競売などの強制換価手続きがさけられない状況である事
すなわち、住宅ローンの返済が滞っていて、債権者から催告書が頻繁に来て、このまま行ったら競売になる可能性がある場合等の状況です。
すなわち、競売の申し立て、頻繁な督促状、保証機関の代位弁済などがこれに該当します。
③譲渡代金の全てが債務の返済に充てられていること
譲渡のときに有する債務の弁済に譲渡代金の全額があてられている状態です。
すなわち譲渡代金が債権者の意図により強制的に債務の弁済にあてられる状況を指します。譲渡代金の一部を生活費に当てたり、一時的に株に投資したり、債務者が譲渡代金を一部でも任意に支出した場合には、その金額は譲渡者譲渡による利益を享受したことになりますから、その譲渡代金の全額について非課税の規定の適用はなくなります。ただし、印紙代・測量費・仲介手数料などの譲渡に要した費用や、抵当権抹消手数料・水田決済金・水利組合の脱退金・申告手数料など譲渡に伴いやむを得ない支出は、任意にした資出ではありませんからこれらには該当しません。
譲渡代金の金額
債務の弁済金
譲渡に要する費用 ⇒ OK
譲渡に伴うやむを得ない支出 ⇒ OK